Deep-Learningモデルを用いた抗酸菌の補助診断の有用性について

 

 

 

Deep-Learningモデルを用いた抗酸菌の補助診断の有用性について

金堀 優輝 / 長崎大学 / yu.kana7173@gmail.com
伊 漢勝 / 長崎大学 / hanseungy@gmail.com
北村 由香 / 長崎大学 / ykita@apricot.ocn.ne.jp
福岡 順也 / 長崎大学 / junfkoka@gmail.com

背景 結核は世界中で今なお罹患率や死亡率の高い感染症の原因の一つであり、単一の感染症による死亡原因の中では1位となっている。顕微鏡による結核菌の検出は困難であり、誤った診断も少なく無い。本研究では、Deep-Learning(DL)モデルを用いたWSIによるワークフローによって顕微鏡による診断精度と観察時間を改善出来るか否かについて検討した。

方法 抗酸菌陽性の剖検2症例、及びZiehl-Neelsen(ZN)染色陰性と診断された症例40枚のスライドにアノテーションを行い、トレーニングに使用した。WSIはextended focus modeにて40倍の拡大でスキャンを行った。DLはVGG(Halo, Indica Labs)を用いた。AIモデルの評価には抗酸菌陽性のZN染色スライド4枚を使用した。
Testingには画像により結核が疑われ、ZN染色された患者のTBLB検体、41フラグメントを選択した。3人の病理医が対物レンズ40倍の顕微鏡を用いて抗酸菌の有無を診断し、次にWSI上でDLモデルが作成したアノテーションを参照し、抗酸菌の有無を診断した。上記の2方法における感度、特異度および必要時間を比較した。ground truthは対物レンズ100倍の油浸顕微鏡による観察を3人の病理医にて実施し、コンセンサスにより取得した。

結果 41症例中17症例(41%)の検体に抗酸菌は検出された。3人の病理医による顕微鏡診断の感度は0.35, 0.47, 0.06、特異度は1.0, 0.87, 1.0であった。DL補助診断を受けた場合、感度は0.94, 0.71, 0.35と著しく向上し、特異度は0.83, 0.96, 0.78であった。観察時間は、DL補助診断によって1フラグメントあたりの観察時間が1分31秒から51秒と約半分に短縮された。

結語 DLモデルによる抗酸菌検出の補助診断を行うことで、診断感度の向上と観察時間の短縮を達成できた。

 

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