気管支鏡下擦過ギムザ染色細胞の良悪性自動鑑別システム:複数のCNNでの検討
桐山 諭和 / 成田記念病院 / ykiri@meiyokai.or.jp
寺本 篤司 / 藤田医科大学 医療科学部 放射線学科 / teramoto@fujita-hu.ac.jp
山田 あゆみ / 藤田医科大学 医療科学部 放射線学科 / ayumi926@fujita-hu.ac.jp
道塲 彩乃 / 藤田医科大学 医学部 病理診断学 / michiba1511@gmail.com
櫻井 映子 / 藤田医科大学 医学部 病理診断学 / eiko.sakurai@fujita-hu.ac.jp
塚本 徹哉 / 藤田医科大学 医学部 病理診断学 / ttsukamt@fujita-hu.ac.jp
【目的】近年、様々な分野でAIによる作業の自動化に向けた取り組みが行われている。病理領域でも特に組織では様々な検討がなされているが、細胞診領域での報告はまだ少ない。我々は以前から呼吸器領域のパパニコロウ染色細胞診画像について良悪性や組織型を自動鑑別する手法を研究、報告している。今回は、同時に施行されることの多いギムザ染色画像を用いて、6種類の畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional neural network, CNN)モデルでの良悪性鑑別を試みたため報告する。
【方法】経気管支肺生検時に採取した擦過ギムザ染色標本、良性88症例と悪性143症例を使用した。顕微鏡用カメラで撮影しデジタル化したものからパッチ画像を切り出し、良悪性の枚数を揃えるために画像回転によるdata augmentationを行った。全症例を3セットに分割し交差検証法により分類精度の評価を行った。自然画像を事前学習させた6種類のCNN(VGG-16, InceptionV3, ResNet50, Dense Net121,169,201)モデルを転用し、ファインチューニングを行い、良悪性鑑別精度を比較検討した。
【結果、考察】すべてのCNNモデルにて90%程度の総合正解率を得ることができ、特にDenseNet169では総合正解率が95.3%と最も良好だった。また、全モデルが正解した細胞像と、一部のモデルが誤判定した細胞像について、核の大きさとクロマチン濃度を数値化することで、我々が良悪性の判定基準として用いている核腫大やクロマチン濃度差がCNNの判定基準となっている可能性が考慮された。ギムザ染色標本でもCNNによる良悪性の鑑別が総合正解率90%以上を得ることができた。将来、迅速細胞診時にサンプル採取の判断を含めた業務負担軽減のためにより検討を加えたい。