ある照明光で撮影した画像を別の照明光で撮影した画像の色に色補正する方式の検討

 

 

 

ある照明光で撮影した画像を別の照明光で撮影した画像の色に色補正する方式の検討

東福寺 幾夫 / 高崎健康福祉大学 健康福祉学部医療情報学科 / tofukuji@takasaki-u.ac.jp
田村 拓郎 / 高崎健康福祉大学 /
高松 輝賢 / マトリクス株式会社 /

照明光源に白色発光ダイオード(以下、LED)を採用した顕微鏡やWSI装置が増えてきている。白色LEDのスペクトル分布が従来のハロゲンランプとは全く異なることは、本会で報告してきた。ハロゲンランプ光源と白色LED光源で同じ標本を同じ対物レンズで撮影した画像の色調が異なることは容易に想像される。

WSI機器ガイドラインにも記載したように、WSIカラー画像はs-RGB色域に対応することが標準とされ、D65が標準光源とされている。しかしD65と同じスペクトル分布の白色LEDやハロゲンランプは実在しない。そこで、既知のスペクトル分布の光源でD65光源対応s-RGBカメラ(以下、D65カメラという)で撮影した画像を、D65光源照明の色調に色補正する仕組み、すなわち光源の差異を克服する方法を検討したので報告する。

s-RGBの色域は色度図上の(0.64, 0.33)、(0.30, 0.60)、(0.15, 0.06)の3点で囲まれた領域である。また、D65光源の白色点色度座標は(0.31271, 0.32902)である。ここで、ある色票をD65光源で照明し、D65カメラで撮影することを考える。撮影画像はカメラからRGB表色系で出力されるが、ヒトの目が感じる色はXYZ表色系で示される。そこで、XYZ表色系の色ベクトルをXYZD65 、カメラ出力のRGB色ベクトルをRGBD65とすると、これらはXYZD65=MD65・RGBD65、RGBD65=M-1D65・XYZD65と表せる。行列M D65はs-RGBの色域定義の3頂点色度座標とD65白色点の色度座標によって定まり、M-1 D65はM D65の逆行列である。同じ色票を別のスペクトル分布の光源Ixで照明してこのD65カメラで撮影すると、色票のXYZ色ベクトルXYZIxに対してD65カメラからはRGB色ベクトルRGBIxが、RGBIx=M-1D65・XYZIxとして出力される。一方、s-RGBの色域定義の3頂点色度座標とIxの白色点の色度座標によって定まる行列をMIxとすると、XYZIx=MIx・RGBF65が成立する。以上からRGBD65とRGBIxを結び付ける関係式を導けばよい。なお、本方式はD65カメラにのみ限定されるものではない。

発表においては、これらの行列の求め方とその値、そして本方式で実施した色補正のシミュレーション結果を提示する。

 

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