免疫組織化学染色法における画像の色標準化

 

 

 

免疫組織化学染色法における画像の色標準化

大西 千絵 / 東京工業大学工学院情報通信系情報通信コース / ohnishi.c.aa@m.titech.ac.jp
山口 雅浩 / 東京工業大学 / yamaguchi.m.aa@m.titech.ac.jp
八木 由香子 / Memorial Sloan Kettering Cancer Center / yagiy@mskcc.arg
Steven Bogen / Boston Cell Standards / sbogen@bostoncellstandards.com

デジタル病理画像を用いた免疫組織化学染色(IHC法)の自動解析技術が実用化しており、診断プロセスの迅速化、客観性の向上、観察者間・観察者内の変動の影響の排除などの点で活用が期待される。しかし、画像の色は染色などの標本作成及びスキャナの影響を受けるため、実用化されたシステムでは、細かく定められたプロトコルセットに沿って作成した画像のみ利用可能となっている。自動解析システムに合わせて標本作成のプロトコルを全面的に変更することは現実的には難しいため、解析ソフト普及の妨げにつながっている。

本研究では上記の課題解決に向けて、IHC法における画像の色標準化を行うことで、スコアの自動評価を可能とすることを目的とする。今回は、乳がんなどにおける分子標的治療の適応判定に重要な役割を果たすHER2たんぱくのスコア評価を対象とした。色標準化はスキャナの色味補正と免疫染色の補正の2ステップで行う。スキャナ補正は八木研究室にてWSIの補正用に設計されたカラーチャートを用いる。免疫染色の補正はDABの染色強度の評価用に作られたキャリブレータを新たに利用する。キャリブレータは抗原でコーティングされたマイクロビーズで出来ており、DABを用いた免疫染色によってレベル1~9の9段階の濃さに染色される。現在使用されている陰性、陽性の2段階のコントロールと比べて、染色の濃さをグラデーションで評価することが可能となる。補正のプロセスでは、キャリブレータ画像から理想的な濃さと適用対象の標本におけるDABの濃さの関係を取得し、適用対象標本における染色のずれの程度を数値化する。そして得られた値を用いてIHC画像の補正を行うことによって、自動解析ソフトでの染色のばらつきなどの影響を排除し、一般的な標本作成プロトコルの下でのスコア評価を可能とする。本発表では提案技術の処理手法と、基礎実験の結果を示す。

 

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